ある女性患者さんの事例をご紹介したいと思います。
その方(仮にAさんとします)は、10年以上前から肩こりや頭痛に悩まされ、
ずっと病院やマッサ―ジに通っていたそうです。
当時からお仕事もお忙しかったせいか、その場は良いものの、
すぐに症状がぶり返し3日もすればいつもの肩こりや頭痛…(>_<)
そんなことを繰り返しながら過ごされてきました。
そして5年ほど前に出産され、仕事に家事そして育児と、
忙しさだけでなくストレスも抱えるようになり、肩こりや頭痛に加え、
背中や腰も痛くなる始末…
そんな時に、当院に駆け込んでこられました。
疲労の蓄積とあまりの痛みの強さに、最初は治療も難儀しましたが、
1週間に2度・1週間に1度、少し良くなったら2週間に1度という頻度で
通院していただいた結果、次第に改善し始め、治療開始3ヶ月ほど経った時には、
ほぼ痛みは無くなっていました。
そこで私は「Aさん、痛みはもう無くなったかもしれませんが、
お仕事や育児の疲労も溜まってくるので、症状がぶり返さないように
1ヶ月後また診せてください。」とお声掛けをしました。
しかしAさんは、「もう大丈夫そうです!痛みは治ったから、また連絡します。」
と清々しく帰っていかれました。
それから半年ほど経ったある日、1本の電話が鳴りました。
「また前みたいに痛くなっちゃったんですけど、治療お願いします。」
電話の主はAさんでした。
状態を診せていただくと、明らかに以前より悪い…
普段の生活を聞くと、相変わらず仕事は忙しく、しかもお子さんは大きく重くなり、
手がかかるようになってきたとのこと。
また以前のように、1週間に2度・1週間に1度、少し良くなったら2週間に1度
という頻度で通院していただき、2ヶ月ちょっとで痛みはほぼ無くなりました。
そこで私は再度「Aさん、痛みはもう無くなったかもしれませんが、
お仕事や育児の疲労も溜まってくるので、症状がぶり返さないように
1ヶ月後また診せてください。」とお声掛けをしました。
しかしAさんは、また「痛みは治ったから、また連絡します」と帰っていかれました。
そして数か月後、同じようなことが繰り返されたある日、Aさんがこんなことを仰いました。
「先生、私の身体は本当に治るのかしら?」
痛みが無くなったのに…治ったはずなのに…ナゼこのようなことが起こるのでしょうか?
それは、『痛みが無い=治った』ということではないからです。
痛みというのは、打撲や裂傷など突発的なケガをした場合を除き、
必ず疲労の蓄積によって起こります。
疲労の蓄積が血液やリンパ液・脳脊髄液といった体液循環を悪くさせてしまい
筋肉の柔軟性が徐々に失われてきます。
筋肉は骨と骨を結び、関節をまたぐようにくっついています。
ですので筋肉が硬くなれば、同時に関節の動きも制限され、知らず知らずのうちに筋肉や関節に負担がかかり続け、いずれ痛みがぶり返してくるんです。
しかし、ほとんどの方は『ちょっと硬くなってきた』『循環が鈍ってきた』それだけでは身体が悪くなってきたと気づかないと思います。
痛みが出てきて初めて身体が悪いんだと認識をすることと思います。
『喉元過ぎれば熱さ忘れる』という言葉がある通り、人間は忘却する生き物です。
痛みが無くなってしまえば、以前に感じていたツラさや苦しさ、そういったことは忘れてしまいます。
もちろんツラかったことを、いつまでも覚えておく必要はないですし、忘れることは非常に大切なことでもあります。
しかし、痛みがなくなっても疲労の蓄積や身体の重さ・ちょっとした筋肉の張り・関節の引っ掛かり全てが痛みの因子になることは頭の片隅に置いておいてほしいのです。
この事例のAさんの場合は、痛みが無くなったことで『治った!』と思って、ご自身の判断で通院をやめてしまいました。
しかし生活環境が変わらなければ、疲労やストレスは必ず蓄積していきます。
疲労や硬さが残っている以上は、痛みの因子は常に残ってると言っても過言ではありません。
前のような痛みがぶり返せば、せっかく良くなっていた身体に対して、
また一から治療のやり直しになってしまいます。
月に1回の通院で良かったものが、痛みがぶり返すことで、
また月に3回4回5回と、頻繁に通院が必要になってしまいます(≧∇≦)
これでは、時間もお金もかえって無駄になり、非常にもったいないということがご理解いただけるかと思います。
これって非常に『損』だと思いませんか?
「痛みが無いから治ったんだ」「なんか身体が重いけど、痛くないから大丈夫」
「痛くないのに通院するなんて時間もお金ももったいない」
「どうせ商売だから通わせてお金せしめようとしてるんでしょ?」
このように判断されたのかもしれません。
当院では痛みをなるべく早く改善して、快適に毎日を過ごしていただけるように、最善を尽くしています。
その為に、繰り返し通院してただくことで早く改善に向かうことができるわけです。
しかしそれだけではなく、痛みが一時的に無くなっても、今後痛みを出さない体作り、
痛みが出てもすぐに回復できる身体作りをしましょうとお伝えをさせていただいています。
その為に、疲れを残さない身体作りが大切になってくるんですね!
痛みというものは、その患部自体が感じているものではなく、脳が感じているものです。
外からの刺激や薬では決して『治す』ことはできません。
『治す』のは、あくまでもあなた自身の脳や身体です。
しかしその、脳や身体も疲れが溜まっている状態では、正常に働くことができません。
そういったタイミングを見計らって、痛みというのは襲ってくるんですね。
決して「痛くない!」といって油断はしないでください。
痛くなければ、痛みの因子を作らないように『月1回のメンテナンス』オススメします。
今回もお読みいただきありがとうございます!