先日来られた、ある男性の事例をご紹介したいと思います。
夕方に一本の電話が鳴りました。
男性の声で「肩が痛くて腕が上がりません。何とかしてください!」
たまたま予約が入っていなかったこともあり、電話の当日にお越しいただきました。
その男性が来院されると、11月も半ばというのに、ナゼか大汗をかいています。。。
様子をみると、かなりつらそうにはされていたものの、
「だいぶ急いで来られたのかな?」初めはそんな風に思っていました。
しかし、改めてお話を伺ってみると、とんでもないことになっていたんです。
「痛みで、左腕が全く動きません・・・」
「!!!」
その男性は、1㌢でも左腕を動かすと、苦痛に顔が歪んでいます。
そうです。さっきの大汗は、腕を動かす度に激痛が走り、苦痛に耐えていた『脂汗』だったんですね(>_<;;)
おまけに激痛のあまり、吐き気もあるという始末・・・
わたしも五十肩に対する施術は決して苦手ではありません。
施術前 https://youtu.be/mKv46JvlaBE
施術後 https://youtu.be/IMeeOjfxEPk
しかし、この方の場合はどうしようもありません。
五十肩は、『急性期』『慢性期』『回復期』と時期が分類されます。
『急性期』はとにかく炎症が強く起きている状態。約2~3週間週間くらい続くのが一般的です。
この時は、誰が何を施そうとも、どうにもできない時期です。
『慢性期』は炎症が少し治まり、多少動かせるようになった時です。
これは1~2ヶ月続くことが多いでしょう。
『回復期』は固まった状態が、少しクセになってしまった状態です。
これは数か月から1年以上続く方もいて、まちまちです。
この男性の場合は、当然ながらバリバリの『急性期』。
しかもその日の朝、急に痛くなったということでした。
よくよくお話を伺ってみると、今までも肩が動きづらい固まった感じはあったので、ずっと整形外科には通っていたとのこと。
そして「様子をみて、回復しなかったら年が明けてから手術をしましょう」と言われていたそうです。
ですから、その男性はしばらく病院には行かず、言い方は悪いですが『放っていた』のです。
「昨日までは何ともなかった」と。。。
おそらく、その「昨日まで」の状態であれば、私でも充分対応できたと思いますし、すぐに良くなっていたと思います。
しかしながら、急性期=炎症。
炎症とは、筋肉や関節の内部が傷ついてしまった状態をイメージしていただくと解り易いかと思います。
一旦傷ついたものは、簡単にくっつきませんよね?
転んで膝を擦りむいたり、包丁で指を切ったりしても、傷が塞がるまでは1~2週間かかります。
体の中でも同じです。
ましてや、絆創膏を貼ることもできませんし、薬を塗ることもできません。
回復を信じて『待つ』しかないんです。
もちろん回復を早める方法として、冷却や安静といった方法はありますが、傷が塞がるまでは信じて待つ他ありません。
なので、私はその男性にこう尋ねてみました。
「なぜ今日はいつもの病院に行かれなかったんですか?」と
そしたら男性は、こう答えました。
「病院は、肩に注射を打つことしかしてくれません。整体なら、何とかしてくれると思いました・・・」
大変、嬉しく有り難いお言葉です。
更に続けて伺いました。
「ここまで酷い状態ですと、そう簡単には良くなりません。1ヶ月間は週に3回通院できますか?」と。
男性は「一度で良くなると思ったので、それはできません。年明けに手術も控えているし・・・」
私も『魔法使い』ではありませんので、『痛みを取る』ことや『痛みを消す』ことはできません。
しかし、痛みの回復を早めるお手伝いは、自信を持ってできます!
ですから、酷い痛みであればあるほど、通院の頻度と回数が必要になります。
この男性にはご期待に応えられず大変申し訳ないですが、丁重に施術をお断りさせていただきました。
痛みは、放っておいても良くなるものではありませんし、何かを施せば『消える』ものでもありません。
必ず痛みの原因があり、その原因を消す為のご自身での努力が必要です。
その努力の方向を、正しい方向に導いて差し上げるのが、我々施術家の役割だと思っています。
ですから、痛みが酷くなる前に回復するお手伝いをさせていただければと思います。
今回もお読みいただきありがとうございます!